松山英樹、勝負を決める108mmBACK NUMBER
松山英樹はコース環境を批判しない。
全米最終日の「-4」を生んだ戦意。
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph bySonoko Funakoshi
posted2018/06/18 12:45
3日目まで苦しいゴルフを強いられながらも、最終日で挽回した松山英樹。それでもその背中からは満足気な様子はない。
マスターズで語った強い想い。
メジャー優勝は、なかなか手に入らない。昨年は全米オープンで2位になり、ビッグタイトルに大きく近づいたが、全米プロでは優勝間近まで迫りながら後半で崩れ、またしても夢の実現は遠のいていった。
今年こそという想いで迎えた2018年。しかし、2月に左手親指の付け根付近を痛め、1カ月半の戦線離脱を余儀なくされた。痛みが出るか出ないか、不安を抱えたまま、なんとか出場にこぎつけた4月のマスターズは、そんな苦境の中で「よく4日間できた」と珍しく自分を褒めた。
だが、その一方で「最終組がまだ9番を回っているところで自分はこうやってインタビューを受ける状況は到底納得できない」と憤り、「小手先のゴルフではなく、しっかりしたものを作らないと勝てない」とも話した。
その強い想いが、以後の松山のモチベーションになった。
しかし想いとは裏腹に、「兆しが見えた」と思ったら「また、お先真っ暗」。その繰り返しが終着点に到達しないうちに松山は今年の全米オープンを迎えた。
「ミスがなく4パットするのは初めて」
ショット、パットの感触がいいのかどうかが「わからない」。だが、「最悪ではない」というミニマムの状態。
開幕前日の水曜日にはエースドライバーのヘッドが割れ、実戦初使用のドライバーで初日に挑むアクシデントにも見舞われて5オーバー、46位タイと出遅れた。それでも諦めず、2日目は26位へ浮上。しかし、首位との9打差を縮めようとした3日目。8番で喫した4パットが松山の心を揺らした。
「ミスパットが1回もなく4パットするのは初めて。頭の中に残ってしまって、なかなか次のホールで打てなかった」
そこから先は「ストロークが悪いのかな」、ショットも「ちゃんとしたものができていないのかな」と心が揺れ始めた。