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2016年ドラフト1位組の◯と×。
頑張り過ぎて故障する新人の悪癖。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byNaoya Sanuki
posted2017/12/30 17:00
アレックス・ラミレス監督の名采配に乗って、日本シリーズでも大活躍した濱口。
ドラ1で一番多い問題は、ルーキーイヤーの故障である。
ドラフト1位の1年目とは、プレッシャーとの戦いでもある。
「〇」だった選手は、結果としてそれに打ち勝てたのかもしれないが、「×」だった選手はそうはならなかった。
'15年もそうだったが、'16年のドラフト1位も、田中(ソフトバンク)、今井(西武)、柳(中日)、寺島(ヤクルト)らがそうだったように、思うような成績を残せなかった最たる要因は「故障」だった。
アマチュア時代から不安を抱えていた者もあっただろう。「ドラフト1位」という看板、そこから派生する周囲の過度な期待が選手の焦りを生み、結果的に故障した、あるいは復帰まで長引いたと考えられケースも多い。
期待に応えるべく頑張って……故障してしまう。
アマチュア時代から注目され、複数球団から指名されたドラフト1位だった、あるプロ野球OBは、入団当初の心情をこう語っていた。
「自分では『俺はそこまで大した選手じゃない』って思っているのに、周りは『10勝だ』『新人王だ』とすごく期待してくれる。マスコミだって、それが当然のように、大前提のように書くわけじゃない。そりゃあ、プレッシャーは常にあったよ。『期待に応えたい』って思って、とにかく頑張るしかなかったよね」
とにかく頑張った結果、故障してしまったのなら選手を責めることはできない。プロ野球人生は、まだ始まったばかりなのだ。