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松田宣浩がこだわる“熱男”の愛称。
WBCのモヤモヤから優勝までの苦闘。
posted2017/12/22 11:00
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph by
Naoya Sanuki
本名は松田宣浩。もしかすると『熱男』と表現したほうが、彼を鮮明にイメージしやすいのかもしれない。
最近ね、すごく嬉しいんですよ――。そう言って、松田は声を弾ませる。
「僕は来年、35になるんですけど、16、17歳離れている高校生とか、他球団のルーキーの子が『松田選手が好きです』とか『松田選手のような熱い男になりたいです』って言ってくれるんですよ」
もはや、別名『松田熱男』ですもんね。そう水を向けると、松田宣浩は「そうそうそう!」と嬉しそうに相好を崩す。
「ぶっちゃけ、使うの難しいでしょ、『熱男』って(笑)」
始まりは、ソフトバンクが掲げた2015年のスローガン『熱男』だった。
インパクトはあった。しかし最初は、耳慣れないその言葉に、しっくりこない自分がいたと、松田は回想していた。
「シーズン当初は『なんやこれ、使い勝手悪そうやな』って思ったんですけどね。ぶっちゃけ、使うの難しいでしょ、『熱男』って(笑)。
でも、チームのスローガンやったし、ファンの人たちに根付かせたいとも思っていたんでね。『これを出していかな』と思って使い続けたら、だんだん自分のプレースタイルに一番合っているな、と。
元気を出すとか全力でプレーするとかね。そっからは、僕個人のスローガンにしていこうと思いました」
本塁打を放ち、ベンチ前で「アッツォ~!(熱男)」とスタンドへ向けて右こぶしを突き上げるようになったのもこの年からである。
今では、人気野球ゲームの固有パフォーマンスに導入されるほどだ。
「ああ! ありますね、知ってます。あれ、いいでしょ!」