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涙の選手、怒る国民、居直る指揮官。
W杯を失ったイタリア「世界の破滅」。

posted2017/11/14 18:15

 
涙の選手、怒る国民、居直る指揮官。W杯を失ったイタリア「世界の破滅」。<Number Web> photograph by Getty Images

イタリアのゴールをともに守り続けたブッフォンとボヌッチがピッチでかわした最後の抱擁は、あまりにも物悲しかった。

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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Getty Images

 イタリアのゴールマウスに毅然と立つ守護神ブッフォンは、もう見られない。

 ロシアW杯欧州予選プレーオフで、イタリア代表はスウェーデンに敗れ、予選敗退が決まった。4度の優勝を誇るアズーリが本大会出場を逃すのは1958年大会の予選以来、60年ぶりのことだ。

「俺たちは敗北した。こんな形で代表を去るなんて、本当に悲しい」

 試合後、主将ブッフォンの目は真っ赤だった。

 歴代最多出場記録を更新し続けてきた代表での175試合目を終えた彼は、ロシア行きを逃せばその時点で代表最後の試合になることを知っていた。涙と嗚咽を抑えきれなかった。

 2017年11月13日。イタリア・サッカーの1つの時代が、終わった。

 3日前、ストックホルムでのプレーオフ初戦に0-1で敗れたイタリアは、カルチョの殿堂サン・シーロでスウェーデンを迎え撃った。逆転突破には2点差以上での勝利が条件だった。

7万2千人がトリコロールで埋めたスタジアム。

 アズーリの老将ベントゥーラは、MFジョルジーニョら3人を初戦から入れ替えて決戦に挑んだ。

 7万2千の大観衆が赤白緑のトリコロール・カラーで埋めたサン・シーロで、イタリアはキックオフから攻めに攻めた。ゲームを圧倒的に支配し、前半のボールポゼッションは実に74%近くに達した。

 後半に入り、GKブッフォン以外の21人が全員スウェーデン陣内にいる時間帯も少なくなかった。最低でも90分の間に1点奪って、イーブンスコアにしなければ延長戦にも持ち込めない。

 だが、どれだけ攻めてもゴールは遠かった。53分、MFフロレンツィが放ったジャンピングボレーは惜しくも右に外れた。

 スカンジナビアの巨人たちは頭や四肢を駆使して、自陣ゴールに迫るあらゆるボールを弾き返した。彼らも必死だった。

【次ページ】 「そりゃあキミぃ、アポカリプスだよ」

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