濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
WWEで初凱旋のヒデオ・イタミ。
無効試合に感じた苦悩と試行錯誤。
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2017/07/07 17:00
度重なる負傷で活躍が遅れていたが、完全復活を果たしたヒデオ・イタミ。
ヒデオの土台は、今でも“ノアのKENTA”なのだ。
6月30日の午前中、ヒデオとASUKAはマスコミ合同インタビューに応じている。そこでヒデオは、WWE/NXTでのファイトスタイル確立についてこう語った。
「(やり方を)変えなきゃと思い込んできたんですけど、今はそうでもないんじゃないかと。いろいろ考えて、そういう答えを自分の中で出しました」
試合の映像を見ながら、コーチにアドバイスを受けることもある。それは「まったくの新人にはいいと思うんですけど、僕には土台があるので」。
アメリカのレスラーにはアメリカなりの価値観があるのだろう。しかしヒデオの土台は“ノアのKENTA”である。丸藤正道らと、とてつもなくハードで独創的な試合を繰り広げてきた男だ。
「NXTはコアなファンが多い。KENTA時代から見ているという人もいます」
コーチの意見にはもちろん耳を貸す。アメリカには「激しさだけじゃなく、試合を通して物語を表現する」良さがあることも感じた。しかし、KENTA時代を知るファンの期待にも応えたいし、何より自分の持ち味を殺したくはない。
「だからバランスですよね」
ちなみにヒデオ・イタミというリングネームは「たぶん一生慣れないでしょうね」。イタミは漢字にすると伊丹だが、実は痛み=ペインからきているそうだ。
「役割を果たすには、自分に価値がなければ」
入団会見時のインタビューで、レスリングのクオリティには自信があると語っていたASUKAも、今は「レスリングだけじゃなく、いろんな要素が必要なんだなっていうのはWWEで感じましたね」と言う。
「レスリングができれば人気が出るわけじゃないですし、運動神経があればいいというわけでもない。そこが難しいというか、大変ではありますね」