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「慎二さんが来なかったらクビに」
西武が涙で送った名コーチ・森慎二。
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byKyodo News
posted2017/07/03 17:00
追悼試合となった6月30日のオリックス戦。ベンチには森コーチのユニホームが掲げられていた。
大石「慎二さんが西武に来なかったら……」
今シーズン序盤、ライオンズ投手陣は先発が奮闘して試合を作り、武隈祥太、牧田和久、シュリッター、増田達至へとつなぐブルペン組も安定した働きを見せた。リーグ上位の防御率を維持し、交流戦に突入。交流戦でも12チーム中、4位の防御率でリーグ3位をキープした。
森コーチの目標は実現しつつある。
それだけに、森コーチのコメントを故人の言葉として紹介しなければならないのが、ただただ無念である。
追悼試合となったオリックス戦、敗れはしたものの9回に登板し、無失点に抑えた大石は試合後、何度も涙をぬぐいながら、ふりしぼるように語った。
「慎二さんが西武に来なかったら、間違いなく僕はクビで終わっていた。とにかく感謝の気持ちしかないです」
選手会長の炭谷銀仁朗も気丈に言った。
「やらなアカンと思っても、どうしても悲しくて気持ちが沈んでしまうのは事実です。切り替えるというと表現が違うかもしれませんが、慎二さんの思いを胸に、しっかり戦うのが慎二さんのためでもあると思います」
これからも森コーチの意思を、皆がつないでいく。