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ジェイミーとエディーはここが違う!
ラグビー日本代表総監督の素顔。
text by
稲田修一(Number編集部)Shuichi Inada
photograph byTakuya Sugiyama
posted2017/06/15 08:00
日本代表だけでなくサンウルブズなど全4カテゴリーで日本のラグビー界全体を牽引しているジョセフHC。
日本選手は「コーチしやすい」特長がある。
外国人選手の選考について。
「同じ実力なら日本の選手を選ぶべきだ。ここははっきりしている。明快に外国人の力が上ならそちらを選びます」
代表に選ばれる際の心構えについて。
「心から代表に選ばれたいのであれば、いつからならいい、なんて、ありえない。いま。それだけです」
日本選手の強みについて。
「素早さ、スキルフルであること。全般には、NZ(ニュージーランド)で用いる言葉なら“コーチャブル”であるところ。コーチをしやすいのです。協力的で忍耐強い。これはラグビーに限らず、広く日本の文化なのだと思います」
決して奇をてらわない、真っ直ぐな言葉を紡いでいく。伝わってくるのは、日本を愛し、日本の文化を理解し、日本選手を信頼しているということ。1995年から2002年まで西日本社会人リーグのサニックスに所属し、福岡・宗像の人と風土に完全に溶け込んだ経験が生きているのだろうか。
エディー・ジョーンズとジョセフHCの違いとは?
前HCのエディー・ジョーンズは、周囲との軋轢を恐れず、目的のためには手段を選ばない“マッド・サイエンティスト”のような印象だったが、ジョセフHCはすべてを受け入れ、包み込んだ上で、強いリーダーシップを発揮して導いていく、大家族を束ねる“ビッグダディ”のような印象を受ける。そうした寛容さがなければ、日本代表のみならず、ジュニアジャパン、サンウルブズ、ナショナルデベロップメントスコッドという4つの強化チームを統括する「チームジャパン2019総監督」というポジションは務まらないだろう。
だが、寛容さの中に、厳格さもある。テストマッチを前にした代表合宿の際、プロップの稲垣啓太はジョセフHCの求めるプレースタイルについて、「エディーのときより細かいです」と語っていた。
「エディーのときは『これをやれ』というベースの上に個人の判断もあったけど、ジェイミーの場合はアンストラクチャーで戦うための決め事、役割分担が明確化されているんです。『お前の範囲はここからここまで』と決まっている。そのかわり、そこでは100%仕事をやりきることが求められる」