サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
不運で負けたのではない、実力だ。
U-20の敗戦を東京五輪への「薪」に。
posted2017/05/31 11:25
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
Tsutomu Takasu
こういうゲームを、日本は何度も繰り返してきた。5月30日に行なわれたU-20W杯の決勝トーナメント1回戦、対ベネズエラ戦のような試合を。
まだワールドユースと呼ばれていた1997年大会で、日本は準々決勝進出を果たした。ガーナとのサバイバルは1-1のまま延長戦にもつれるが、97分に被弾してしまう。宮本恒靖、柳沢敦、中村俊輔らが、終了のホイッスルに力を失った。
オランダをホスト国とした'05年大会では、決勝トーナメント1回戦でモロッコと激突した。両チームとも得点をあげられず、延長戦突入かと思われた土壇場でゲームは動く。90+2分、西川周作の守るゴールが破られた。日本は0-1で敗れた。
2年後の'07年大会でも、ギリギリの攻防で敗れている。チェコとの決勝トーナメント1回戦で、日本は47分までに2点のリードを奪う。ところが、74分、77分と立て続けにゴールを割られ、延長戦に持ち込まれてしまった。結果はPK負けである。
堂安が、高木が、中山がチャンスを迎えたが……。
2017年5月30日の日本対ベネズエラ戦も、試合内容で劣ったわけではない。グループステージの課題だったゲームの入りかたを修正し、それでもしのげない場面はGK小島亨介が阻止した。
チャンスも作り出した。28分、自らの突破で得た直接FKを、堂安律が左足で狙う。相手GKにセーブを許さない一撃はしかし、バーに弾かれた。
黄金の好機は57分だ。2列目の右サイドから中央へ入り込んだ堂安へ、ボランチの市丸瑞希がタテパスを入れる。背番号7のレフティーも、ゴール前へスルーパスを通す。2トップの一角として今大会初先発した高木彰人が、ペナルティエリア内にフリーで走り込む。ガンバ大阪に所属する3人がベネズエラの守備陣を切り裂いたが、高木のシュートは相手GKにセーブされてしまった。
後半終了間際の追加タイムには、リスタートからベネズエラのゴールに迫る。堂安の右CKを、センターバックの中山雄太が頭で合わせる。マークを振り切ってフリーで放たれたシュートも、歓喜を呼び起こすものとはならない。ゴール右へ逸れていった。