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池田純がBリーグチェアマンに聞いた、
「夢のアリーナ」の壮大なビジョン。 

text by

朴鐘泰

朴鐘泰Park Jong Tae

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photograph byNanae Suzuki

posted2017/05/25 12:20

池田純がBリーグチェアマンに聞いた、「夢のアリーナ」の壮大なビジョン。<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

NBAとどのような関係性を築いていくつもりなのか?

大河「Bリーグの本体の市場規模は約50億円。これは世界的に見れば、そこそこ上位に位置するんです。ところがNBAは、ケタが2つも違うんですよ。そこと一緒に何かをやるというのは非常に難しい。

 NBAはアジアのマーケットに目をつけていて、もちろん巨大市場である中国を重要視していますけど、日本の存在感にも目をつけている。我々としてはジュニアNBAといった育成システムを通じて、NBAのいいところを学んでいきたいと思っています」

 大河氏がチェアマンとして成し遂げたい仕事のひとつとして、「夢のアリーナ」の設立がある。

大河「Bリーグの試合開催会場のほとんどが体育館。プロの興行なのに、原則飲食禁止で土足厳禁というところがあるのはいかがなものか、と。これには体育行政の問題が大きく関連してきます。以前サッカーの世界にいた時から思っていたことですが、野球とサッカーの一番の差は、スタジアムの立地。これはものすごく大きい。

 西武ライオンズのメットライフドームはちょっと距離がありますが、12球団総じて最寄駅からのアクセスは快適です。一方、サッカーは都心の最寄駅から近いスタジアムはかなり限られる。代表戦などがよく行なわれる浦和の埼玉スタジアムと浦和美園駅の往復は、初観戦の方なら2回目を相当躊躇うはずです。夢のアリーナというのは、立地もそうだし、見る人のことをちゃんと考えてつくりたいと思っています」

日本のスポーツ産業の市場規模を約3倍にする!

受講者「一方で、国体開催に合わせて、各地方自治体は新しい体育館をつくるという無駄遣いの現実があります。それに対して何か策はおありでしょうか?」

大河「試算によると、いま日本のスポーツ産業の市場規模が5.5兆円と言われていて、2025年にはそれを15兆円にしようというのが安倍(晋三)首相の公約。また、スポーツや農業が地方創生の手段としてフォーカスされています。

 これまで公共事業として建てられたスポーツ施設は、単に道路や橋をつくったのと一緒で、維持していくにはお金だけが掛かっていく。そうではないものをこれからつくっていこうというコンセンサスはできていて、2025年までにモデルとなるスタジアム・アリーナを全国20箇所につくろうとなっています」

【次ページ】 「夢のアリーナ」設立へ向けて、奔走する大河氏。

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