マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
高校野球は、人を粗末に扱ってきた。
野球部員の減少を実感する瞬間とは。
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byKiichi Matsumoto
posted2017/04/25 11:30
甲子園の観客動員数はここ数年増えている。しかしその場所を目指す球児が減っているとすれば、どこかに問題があるのだ。
野球が絶対だった時代なら続けていた子が。
子供の遊びといえば野球、少年のスポーツといえば野球だった今から30年、40年前は、自分の野球が人並みだと感じていれば、そのまま、なんとなくでも野球を続けていた。野球以外の競技はそこまで選択肢になっていなかった。
しかし今は、この40人が割れる。
野球がそこそこ上手であれば、他のスポーツだってこなせる程度の身体能力は持っている。他のスポーツに魅力を感じている少年たちが、野球から離れていく現象がこのレベルで起こると、たとえばその半分の20人が離脱するとして、野球のスキルが上から70番目だった少年が一気に50番目に繰り上がることになる。
これが、今の現象のように思う。
スキルの低下から、部員の減少が見てとれる。
今の高校野球の現実の一端ではなかろうか。