沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
1番人気が3年連続で崩れた桜花賞。
ソウルスターリングはなぜ負けたのか。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2017/04/10 11:20
阪神の桜は満開だった。しかし桜花賞ゴール直後、スタンドはソウルスターリングの敗戦に静まりかえっていた。
長距離輸送、激戦、そしてソフトな馬場。
実はこの馬は、過去3戦でも直線で手前を替えている。しかし、いつも、1度パッと替えるだけだった。ルメールはこうつづけた。
「美浦と阪神の往復が3度目だったことも影響したかもしれない。GIだから、ちょっとのことが、大きな結果の違いになる。でも、負けたといっても3着だったのだから、強い馬です」
管理する藤沢調教師は、何から切り出すべきなのか、困惑したような表情だった。
「やわらかい馬場はいいと思っていたんだけど、よくなかったですね。折り合いがついて行儀よく走っていましたが、直線に向いたら何度も手前を替えて、思ったほど伸びなかった。レース前の雰囲気はよかったんです。でも、3、4コーナーでは抜群の手応えではなかった。すみません」
長距離輸送と激戦の繰り返しによって、目に見えない疲れが溜まっていたところに、適性のないソフトな馬場に持ち味を封印された、といったことが敗因だろうか。
結局、阪神JFの上位3頭と同じ顔ぶれに。
この桜花賞の1、2、3着馬は、昨年の阪神ジュベナイルフィリーズの着順を逆にしたものだった。ということは、強い馬たちが強い競馬をした結果、こうなったと見ることもできるわけだ。
勝ったレーヌミノルは、小倉、阪神、東京と異なる舞台の1200m、1400m、1600mというさまざまな距離で、大きく崩れることなく走りつづけてきた。
2着のリスグラシューも、デビューから2-1-1-2-3着と来て、今回は過去2戦2敗だったソウルスターリングに先着する2着。高いレベルで安定した力を発揮する、牝馬らしからぬ心身の強さを持った馬だ。
早い時期から「強い」と言われてきたこの世代の牝馬のレベルの高さを、あらためて証明するレースだったと言えよう。