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男子フィギュアのジュニア界も4回転!
台湾で目撃した羽生以降の新世代。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAsami Enomoto
posted2017/03/21 17:00
ジュニアの男子部門の表彰台。左から、銀メダルのドミトリー・アリエフ(ロシア)、優勝したヴィンセント・ジョウ(アメリカ)、銅メダルのアレクサンドル・サマリン(ロシア)。
上位は揃って4回転ジャンプを取り入れている。
ジョウを筆頭にレベルの高さを感じさせた大会だったが、その原動力は、4回転ジャンプの進化にある。
昨シーズンにはすでにジュニアでも、何人もの選手が4回転ジャンプをプログラムに取り入れていたが、その傾向にさらに拍車がかかった。上位に来る選手はほとんどが4回転ジャンプをプログラムに入れ、ジョウや総合6位のサモーヒンのように複数本入れる選手も珍しくはない。
ただ入れるだけではなく、精度も上がっている。4回転ルッツを鮮やかに成功させたジョウ、今大会では総合8位だったが4回転ループに挑み続けているアレクセイ・クラスノジョン(アメリカ)のように、ジュニアでも、より難度の高い種類へと広がりを見せている。
その流れを生んだのは、シニアにおける4回転ジャンプへのさまざまなチャレンジにほかならない。
シニアの動向はジュニアにも波及する。ましてやジョウらは、来シーズンにシニアに移行することを見据えて取り組んでいる。それが今大会の演技をもたらしたのである。
日本人選手も着実に成長しているが……。
日本からは友野一希、島田高志郎が出場した。
昨年に続いて2度目となった友野は、ショートではトリプルアクセルの転倒が響き14位にとどまった。フリーでは、冒頭の4回転サルコウでのミスなどはあったものの後半巻き返し、合計得点211.28で総合9位となった。
「去年よりは成長できました」
昨年は、本来出場を予定していた山本草太の欠場で急きょ出場し、179.61で総合15位に終わっている。その経験を糧に、目標と定めてきた大会で一定の手ごたえを得た。
ショート12位の島田は、フリーではジャンプのミスがあったが、腰痛を抱える中で懸命に滑りきって、合計194.10点の総合14位。
「世界では、より大技が必要だと感じました」
15歳で初出場を果たした大舞台で感じた課題――。4回転ジャンプをプログラムに入れていく重要性とともに、今後を見据える。