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大学枠撤廃から3日後の大激戦。
ラグビー日本選手権、帝京の意地。
text by
大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph byKyodo News
posted2017/01/23 17:00
帝京大が見せた奮闘ぶりは、今季からサントリーを率いる沢木監督がハーフタイムで選手を鼓舞せざるを得ないほどだった。
若い世代に対して“挑戦する場”は設けられるのか。
来季は、日本選手権でトップリーグ勢に挑む機会はない。それでも「トップリーグ勢との練習試合や出稽古は続けていきたい」と来季の副将、尾崎は言った。
「自分たちのレベルを上げるためにも、強い相手にチャレンジすることは必要だと思う」
この際、帝京大がトップリーグに参戦すれば……という声もある。とはいえ、全国を転戦し、毎週強敵と戦うことと学業は両立できるのか。疲労の蓄積、ケガの危険はどうなのか。クリアすべき課題は多い。
「大事なのは学生がケガをしないよう、リスクがないようにすること。一部だけを見ての発想ではなく、多面的に見て、調整していただけるのなら、日本ラグビーにとって一番いい形をとっていきたいと思っています」
日本協会には、日本選手権の学生枠を復活させる意思は「当面ない」(坂本専務理事)という。とはいえ練習試合を組めば良いかと言えば「公式戦でないと試合のモラルが難しい」(岩出監督)。懲罰規定のない練習試合では、危険なプレーを平気で繰り返す選手も見受けられる。選手を危険にさらさないことは、岩出監督が最も大切にしていることだ。
難題は多い。だが、帝京大のチャレンジは、若い世代に挑戦の場を、成長の機会を与えることには、やはり価値がある――1月21日のスリリングな80分間は、そのことを改めて証明したといえそうだ。