岩渕健輔、ラグビーW杯と東京五輪のためにBACK NUMBER
15年ぶり女子ラグビーW杯出場決定。
岩渕GMは、残り8カ月で何をする?
posted2016/12/28 08:00
text by
岩渕健輔Kensuke Iwabuchi
photograph by
Kyodo News
こんにちは。日本ラグビーフットボール協会、代表GMの岩渕健輔です。
女子の15人制代表が、女子ラグビーワールドカップ2017においてアジア・オセアニア地区予選を突破し、来年アイルランドで開かれる本大会に駒を進めることとなりました。
皆さんには、熱いご声援を送っていただきましたことを深く御礼申し上げます。今回はこの2試合について、一緒に振り返っていきたいと思います。
まず12月13日に行われた初戦。日本代表はフィジー代表に55-0で勝利。フィジーはすでに香港代表に敗れていたため、日本はこの勝利によって、アジア・オセアニア地区予選の突破を決めました。
とはいえ選手たちには、かなりのプレッシャーがかかっていました。
まず日本代表には、女子ラグビーワールドカップの本大会出場を3回連続で逃してきた苦い経験があります。チームに招集されたメンバーの中には、国際大会に臨むのが初めてとなる選手や、15人制の試合経験が少ない選手もいました。さらに述べれば、フィジー代表の選手たちは、体格や身体能力では明らかに日本代表の選手たちを上回っていたからです。
事実フィジー代表が個の強さと速さ、大きさを活かして、試合開始直後から攻勢をかけてきたため、日本代表にとっては、かなり嫌な展開になりかけました。
しかし選手たちは、最初の20分間をしっかりとしのぐことに成功。自分たちに試合の流れを引き寄せ、最終的には勝利を収めました。
2人目の選手のサポートの早さが鍵。
勝因は、どこにあったのでしょうか。
最初に指摘したいのは、日本代表がチームとして目指していた戦い方が、きちんとできていた点です。
個の能力で勝るチームに対抗するためには、相手陣で低いタックルをしかけ、確実に攻撃の芽を詰むこと。ボールをキープし、相手陣でプレーする時間を増やす。攻撃においても守備においても、サポートに入る2人目の選手が相手よりも早く働きかけることなどが重要になります。
フィジー代表の選手たちはもともとボールを扱うテクニックにも長けているので、パスが繋がり始めると勢いに乗ってきます。相手のプレーを切り、本来のリズムに乗せないようにする点でも、「2人目の選手のサポートの早さ」は日本代表にとって鍵になっていました。