JリーグPRESSBACK NUMBER
買い手市場のJトライアウトでも……。
長らくJ1で過ごした3人の男の挑戦。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byKyodo News
posted2016/12/14 08:00
盛田剛平は長らくJ1で過ごしてきた、まぎれもないトップ選手。彼のプロフェッショナリズムを必要とするクラブはあるはずだが……。
盛田「アジアとかに広げても40歳では……」
189センチの大型ストライカーとしてスタートした彼は、キャリアの途中からセンターバックとしてもプレーするようになる。この日は4-4-2の2トップでプレーし、最前線で攻撃の起点を作り出した。
妻とふたりの子どもがいる。「カテゴリーにはこだわりませんが、生活できない金額では選手を続けられないですね」と話す一方で、引退という境界線を自分から越えるつもりはない。
「アジアとかに(選択肢を)広げても、40歳というだけで興味を持たれないかもしれない。でも、現役が一番いい。自分から辞める気持ちはないので、足掻いています」
天皇杯優勝も経験した斉藤大介は2年連続の参加。
盛田と同じくプロ18年のキャリアを持つ斉藤大介は、J1、J2、J3の3つのカテゴリーで通算398試合の出場を数える。キャリアをスタートさせた京都サンガで天皇杯優勝を経験し、2013年には徳島ヴォルティスの主将としてJ1昇格に貢献した。
しかし、'15年に契約満了となり、'16年はJ3の栃木SCの一員となる。1年でのJ2復帰を目標とするチームは入れ替え戦で敗れ、編成の刷新がはかられていく。36歳のベテランは、2年連続でトライアウトに参加することとなった。
「まだやり残したことがあるんじゃないか、と。オファーがないことには選手を続けられないですが、自分のなかで納得しないと引退という文字は出てこない。まだやれる気持ちはありますし、簡単にはやめられない。やるだけのことはやりたいので、今年もトライアウトに参加しました」
ピッチ上では確かな存在感を示した。コンビネーションもコミュニケーションも成り立ちにくい急造チームを、ダブルボランチの一角からコントロールした。彼の声はチームメイトを助け、チームを機能させていた。
「いきなりパッと集まって自分の良さを出すと言うのは、なかなか難しいと思うんです。ここにいる選手の目的はみんな一緒ですから、1人でも新しい契約を勝ち取れるように、もうひと花咲かせられるように、と思っていました。もちろん僕も、そういうつもりでやっていました」