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買い手市場のJトライアウトでも……。
長らくJ1で過ごした3人の男の挑戦。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byKyodo News
posted2016/12/14 08:00
盛田剛平は長らくJ1で過ごしてきた、まぎれもないトップ選手。彼のプロフェッショナリズムを必要とするクラブはあるはずだが……。
トライアウトは売り手市場ではないのだ。
トライアウトの2日前に、第2子が誕生した。子どもについて聞かれると表情が柔らかくなったが、それがまた悔しさを増幅させてもいるようだった。
「生まれてきた子どものためにも、もっと頑張りたいという思いで参加しました。もう少しやりたかったですね。30歳を過ぎると動けないと見るクラブもあるので、そういう意味でもここでアピールするつもりだったのですが、逆にケガをしてしまったので。すごく悔しいですし、もったいないです。オファーを待つよりもトライアウトに出て、自分で何かをつかめればと思っていたのですが、ケガで終わってしまったので。残念ですけれど、待つしかないですね」
新シーズンへ向けたJリーグ各クラブの編成は、すでに進められている。トライアウトで新たな契約をつかむ選手は例外でないものの、提示される条件はシビアなものが多い。トライアウトという移籍市場は、当たり前だが売り手市場ではないのだ。
2017年のシーズンもまた、彼らはユニフォームを着ることができるのだろうか。ファン・サポーターの声援が降り注ぐピッチに、もう一度立つことができるのだろうか。
ひとつだけはっきりしているのは、彼らの情熱は燃え尽きていないということである。盛田も、斉藤も、松下も、濁りのない力強い眼差しを浮かべていた。