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降格危機が磐田から奪った「強気」。
まず走れ、そこから全てが生まれる。
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![飯尾篤史](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/f/9/-/img_f95ef5c9e8e76422322a429d92cc938d209844.jpg)
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2016/11/02 11:00
![降格危機が磐田から奪った「強気」。まず走れ、そこから全てが生まれる。<Number Web> photograph by J.LEAGUE PHOTOS](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/9/0/700/img_90ff3bf67c633aede0131894c5558218145738.jpg)
チームが押し込まれた結果ジェイは前線で完全に孤立していた。技術よりも、勇気こそが今のジュビロが抱える最大の問題だ。
ジェイとアダイウトンに頼ることすらできない。
なかでも指揮官と選手が口を揃えていたのが「ボールを奪ったあとのファーストプレーの質の低さ」だ。
見せ場を作れなかった右サイドハーフの太田吉彰も「せっかく奪っても、奪い返されてカウンターのカウンターをあびてしまった」と悔やんだ。
勝点23を挙げ、8位で終えたファーストステージにおける磐田はジェイとアダイウトンへの依存度が高く、“外国人頼み”と揶揄されることもあったが、反対に言えば、彼らを活かせるだけのチャンスメイク力と守備力があった。
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だが、1勝しか挙げられていないセカンドステージでは、彼らに頼ることすら難しくなっている。アダイウトンがサイドで仕掛けても、ジェイが前線でボールを収めようとしても、サポートが来ないために簡単に潰されてしまう。
あるいは、ゴール前で身体を張って浦和の攻撃を防いでも、ジェイやアダイウトンにボールを預ける前に中盤で簡単に失ってしまう。上田康太も宮崎智彦も川辺駿も決して技術のない選手ではないが、ミスパスや判断ミスを犯し、名波監督が頭を抱えるシーンが何度もあった(そのたびにすぐに手を叩き、鼓舞していたが)。
ボールを受けるために走る選手が少なすぎる。
もちろん、そうしたミスは攻守の切り替えのスピードに磨きをかけた浦和の迫力のあるボール刈りによるものでもある。しかし一方で、パスの出しどころが少ないという自分たちの問題でもある。走っているはずの味方がそこにないからパスを出せない。サポートが近くにいないから、パスコースを探しているうちに潰される……。
ボールを受けるアクションの量は、パスを繋いで攻撃を組み立てようとするチームにとって、選手の自信をはかるバロメーターのひとつだ。勝てないチームほど、やられるのが怖いから攻撃へのアクションが少なくなっていき、攻撃へのアクションが少ないからなお勝てなくなるという悪循環。こうしてチームは縮こまり、守備においても待ち構えるような、消極的な姿勢が増えていく。