サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
香川と清武の違い、本当に知ってる?
トップ下論争の前提を整理してみた。
posted2016/10/24 11:00
text by
西川結城Yuki Nishikawa
photograph by
Takuya Sugiyama
メルボルンでのオーストラリア対日本戦の取材から帰国して知人と話をしていた時、こんな言葉が会話に出た。
「今回の代表戦は、“物申す”的な記事が妙にあふれてない?」
10月、日本はW杯アジア最終予選2試合を結局1勝1分の勝ち点4で終えた。ホームのイラク戦とアウェイのオーストラリア戦、それぞれ中身も興味深い内容となった。それだけに、あらためてハリルジャパンの戦術面や采配面、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督解任への賛否、さらには選手個々への言及や、「~すべきである」といった強い言い切りの記事を多く見かける。
少し試合から時間が経った今、彼はこう続けた。
「意見もいいんだけど、一回だれかに現状を整理してほしい」
濃厚に賛否や意見を押し出した記事は、もうお腹いっぱい! のようだった。メルボルンで食してきたオージービーフや中華料理……ちょうど私の胃袋もサッパリとしたモノを求めている(笑)。そんなこんなで、ここで素材の味(選手の特徴)のみを生かした記事を書いてみようと思い、いざ筆を執った。
清武の評価が上がる陰で、香川株は下落中?
今筆者が気になっているのは、香川真司の評価が下落し始めていることだ。
9月のUAE戦とタイ戦でのパフォーマンスを受けてその声は出始め、ドルトムントでは先発落ちの日々を過ごし、そして今回初戦のイラク戦でベンチスタート。オーストラリア戦では先発するも目立った攻撃プレーが見られなかったことで、徐々にその声は高まりつつある。
一方、清武弘嗣への期待が高まってきている。
彼も現在は所属先のセビージャでは、出番を得られない立場である。にも関わらず、代表でピッチに立てばその躍動感あるプレーで、観ている者の心を鷲掴みにする。
最近の代表戦で何度も決定機を外している香川と、アシストで目に見える結果を出している清武。そんな単純な事実も、両者の印象を形作っているのかもしれない。
香川と清武。ともに本職のポジションはトップ下。過去にセレッソ大阪でプレーしていたという共通項もある。香川は「キヨ」と後輩を可愛がり、清武も「真司くん」と親しみとリスペクトを込めて呼ぶ。同じ位置を争う選手同士でありながら、「競い合うというよりも、共存できるし一緒にプレーしたい思いの方が強い」と、清武は純粋に語る。