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なぜ寝具メーカーがサッカーを支援?
理由は本田圭佑が持つ「緊張感」。
text by
西川結城Yuki Nishikawa
photograph byAFLO
posted2016/10/21 11:30
ミランでは苦しい時間を過ごしている本田圭佑。しかし彼はいつだって最後には出場機会をもぎとってきたのだ。
最初はスポンサード、今はビジネスパートナー。
以前、ある光景を目にしたことがあった。
まだ本田がCSKAモスクワでプレーしていた時代のこと。広大なロシアの奥地で行われたアウェイ戦。試合後、本田は自分専用のマットレスを自ら抱えてチームバスの荷物入れに収めていた。遠いアウェイ戦にまでわざわざ持参していた寝具。あらためて、本田のボディコンディショニングに対する意識の高さがうかがえた瞬間だった。
このように、元々は選手としての本田を支える間柄だった。ところが、今ではビジネスパートナーへとその関係性は発展している。何よりホルンをスポンサードする大きな理由、それはサッカー選手という枠だけに留まらない本田の行動に起因するという。
「一番は彼の人間としての幅の広さ、そこに会社として大きな魅力を感じていることです。本田選手にとって、ホルンの経営は挑戦であり、夢への第一歩です。弊社も450年という伝統が前面に出ることが多いですが、挑戦と革新を続けてきたからこその伝統があります。現代で言えば、本田選手を始めスポーツ界の方々と歩みをともにし始めたことは、保守的な印象の産業・業界においてはチャレンジでもあります。チャレンジ精神をその時代で繰り返してきたところは、本田選手の今の行動と重なるのです」(須藤氏)
「本田選手はホルンの映像を常にチェックしている」
さらに、彼と直接ビジネスをする上で見えたある素顔も関係しているという。須藤氏が続ける。
「なにより、本田圭佑という人間が持つ緊張感です。彼とは競技に関する話だけをしていれば良いというわけではありません。サッカーにとどまらず、身体的な話や教育など、常に幾層にも会話が重なって、議論になっていく。ビジネスマン、むしろ経営者としての素顔が強く出ている瞬間でもあります。例えば、本田選手はミラノにいながら、ホルンの練習の映像を常にチェックし、試合も必ず全て見ては改善点を挙げています。普通のクラブのオーナーでも、そこまでやっている人がいるのかどうか。
本田選手は何事も徹底される方だと思います。すべてをきちんと管理される。それは選手としても、ビジネスマンとしても、人として変わらないところだと思います」
もちろん、本田の挑戦を支えるという大義名分だけではない。スポンサードする上での広告的効果も重要である。