“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
「日本は激しくプレスすれば……」
アジアの対策にU-16も屈した現実。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byAFLO
posted2016/10/05 11:00
このチームが見せた攻撃力は圧倒的だった。ただ“上手くいかない時間帯”をやり過ごす力が足りないのは、日本の全世代に共通する課題にも映る。
「日本はコンタクトが弱いから強く行けばいい」
それだけに日本サッカー界において、イラク戦はただの敗戦では片づけることは出来ない。
「フィジカルを前面に押し出して来るような、前から奪いに来て、身体をぶつけることを厭わないような相手に対し、まだまだ普通にプレーすることが出来ない。それは国内の環境もあるし、ここまでガチガチ奪いにくるようなサッカーが日本でなされているわけではない。それは日本全体で考え直さないといけないと思います」(森山監督)
この問題は以前から指摘されていることだが、なかなか改善の兆しが見えない。だからこそ、森山監督はチーム立ち上げから、この危機感を指導の根幹に据えてチームを指導し続けてきた。そして、今回の結果を受けて、やるべきことが多いのを痛感したのと同時に、日本サッカー界に改めて大きな警鐘を鳴らした。
「今、日本対策を打ってくるチームは、必ず“前からプレス”“ロングボール”になる。前からプレスがきたら(プレーが)出来ませんではダメ。日本はどうしてもそこが弱い。対戦する各国の監督に聞くと、必ず『日本はコンタクトが弱いから強く行けばいい』『プレッシャーをかければボールを取れる』という話をされてしまう。それ自体が問題です」
グラウンドが悪いと、力を発揮出来ない選手たち。
森山監督のこの言葉を借りれば、イラク戦を見て、イラクを始めアジアの各国は、「やっぱり日本はこのやり方に弱い」という確信を改めて感じた試合になったと言える。要は日本人選手が自らの国の弱点をさらしてしまった試合だった。指揮官はこう続ける。
「やり方もそうですし、グラウンドが悪い中だと日本はなかなか力を発揮出来ないということも印象づけてしまったと思う」
今大会の日本は強さを示した一方で、相変わらずの弱点もさらしてしまった。これは決して、A代表やJリーグが“対岸の火事”にしてはいけないポイントだ。