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DeNAがついに越えたCSの「Line」。
ラミレス監督の芯を見た言葉の数々。
text by
日比野恭三Kyozo Hibino
photograph byNaoya Sanuki
posted2016/09/25 07:00
現役時代は明るいキャラクターのイメージだったラミレス監督だが、就任1年目にして指揮官の貫録と風格を漂わせている。
CS進出が現実味を帯びて使った「Cross the Line」。
CS進出が現実味を帯びはじめた8月下旬になってから、しきりに使い始めたフレーズがある。
「Cross the Line.(線を越えろ)」
順位表の3位と4位の間に引かれた一本の“Line”。一度でもその線を越えれば風景が、意識が変わる。Aクラスにずっといられるチームになるための第一歩がそこから始まる。そのチャンスが目の前にあった。
チーム全員で一線をまたいだ試合の後、筒香は言った。
「監督が常に前向きな言葉を選手にかけ続けて、やる気にさせてくれた。それがあってこそ、選手全員が自信をもってできたと思う」
ラミレスも筒香も、心の中では不安や怒りといった感情の波が立つことも当然あったはずだ。しかし、それを決して言葉には出さなかった。疲労がたまり、何か一つのきっかけでガタガタと崩れかねない終盤戦に入っても、チームはしっかりとファイティングポーズをとり続けることができた。それはやはり、言葉がつくる力に支えられていたからではないだろうか。
CS決定後の囲み取材で、「これで少し重圧から解放された?」と問われたラミレスは顔をほころばせて言った。
「A little bitジャナイ、Big big relief(少しどころじゃない、本当にホッとしているよ)」
久々に、ラミちゃんの本音を聞いた気がした。