リオ五輪PRESSBACK NUMBER
「海外で弱い」元世界女王が流した涙。
柔道・近藤亜美、銅獲得からの再出発。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byJMPA
posted2016/08/07 16:50
「次のオリンピックに生かしたいです。申し訳ありませんでした」と試合後にコメントした近藤。21歳、まだまだ強くなる可能性は無限にある。
ウェイトをやらず、体重管理も大ざっぱだったが……。
取り組む姿勢の甘さもあった。やりたくないとウェイトトレーニングを避け、減量のある競技にもかかわらず、体重管理も大ざっぱだった。その状態が続けば、やがて日本代表に選ばれなくなる日が来ていたかもしれない。
そこから復調へと進むことができたのは、「自覚」だった。勝つためにはパワーも必要だと気づき、ウェイトトレーニングに取り組むようになっていった。
食事も見直し、体重のコントロールも心がけた。結果、五輪代表の切符を手に入れたのである。
停滞していた頃からすれば、オリンピックの舞台にたどり着いたこと、何色であれ、メダルを獲得したということは、近藤が費やした努力の証であり、十分、意味のある銅メダルである。
しかも、ロンドン五輪では柔道の成績が伸び悩み、柔道界としてそのリベンジの意気込みが強い中で初日に登場してのメダルである。
実力差を痛感した大会だったからこそ、次を見据える。
それでも当の本人は、敗れたことを悔いる。
思えば、自覚が芽生えたのは、連覇を狙った昨夏の世界選手権での敗北からだ。それを考えれば、リオでの敗北もまた、次への糧となりえる。
「実力の差がしっかり出た大会だったと思います」
近藤は試合全般をこのように振り返った。だからこそ、自らが感じた実力の差を埋めていくのがこれから4年間の仕事となる。
「決勝の舞台で戦いたかったです」
最後まで、悔いを見せ続けた近藤はすでに2020年へと目を向けている。