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<EURO2016展望> 優勝経験なし。それでもベルギーに期待してしまう理由。
text by
北條聡Satoshi Hojo
photograph byGetty Images
posted2016/06/02 11:00
この夏のEUROには「黄金世代」ベルギーが存在する。
近年では2008年大会の王者スペインがそうだ。シャビ、イニエスタ、セスク、ダビド・シルバの『クワトロ・フゴネス』が華麗なパスワークで人々を魅了し、万年候補の汚名を返上している。
1・ワールドカップの優勝と無縁
2・珠玉のスターを擁するタレント群
この夏、フランスで開催されるEUROで、以上の条件を満たすチームはあるか。目下、FIFAランキング2位のベルギーが、これに当てはまるかもしれない。
エースのE・アザールを筆頭に、多士済々のタレントがずらり。FW陣には巨砲R・ルカクと昇竜のオリジ、MF陣には万能のデブライネ、槍のメルテンス、巨人フェライニ、屈強のビツェル、野生派のナインゴランといった個性派がひしめいている。
キャプテンのコンパニをケガで失った守備陣の弱体化は懸念材料だが、守護神のクルトワ、ベルトンゲンやアルデルバイレルトらの実力者は健在だ。指揮官のビルモッツは前線からのアグレッシブなプレスを企んでおり、首尾よく機能すれば、最終ラインの負担も減るだろう。
ベルギーにとって、隣国フランスで戦えるのも追い風。思えばオランダがEUROを制したときの開催国も、お隣の西ドイツだった。サポーターの大声援をバックに、ホーム同然の雰囲気の中で戦えれば、持てる力を十全に発揮できるはずだ。
豪華な面々は『黄金世代』と称えられるが、闘将ビルモッツは「実績を残さなければ、そう呼ばれる資格などない」と話す。果たして、フランスやオランダの再現か、それとも、クロアチアやポルトガルの黄金世代の二の舞か――。おそらく、アザールの両足だけが、その答えを知っている。