パラリンピックへの道BACK NUMBER
ハンドボールから転向して一年。
パラ陸上異色の代表候補・辻沙絵。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byShingo Ito/AFLO SPORT
posted2016/04/29 08:00
ハンドボール選手だった辻沙絵は昨年3月に陸上転向、その年の内に200mで日本新記録樹立、100mで世界選手権6位入賞。期待大のスプリンターだ。
陸上転向したその年に世界選手権へ。
すると瞬く間に頭角を現し、昨年10月の世界選手権に出場。6位入賞を果たした。
昨年12月の「毎日新聞障がい者スポーツフォーラム2015」に出席した辻は、ハンドボールとの違いに触れて、こう語っている。
「ハンドボールでは結構な距離を走るので、100mは短いと思っていました。ところが、いざ走ると、こんなに長かったんだと思いました。100mの中でやることがたくさんあって、こんなに難しくて奥が深いのかと驚きました」
世界選手権に出場した経験を踏まえ、こうも話している。
「陸上という世界が、ここまで自分が輝ける場所だったんだと私自身驚いています」
一度知ってしまった魅力だから、リオデジャネイロへの意志も強い。伸び盛りなだけに、今大会で注目の一人だ。
「柔道らしさを味わえる」パラ柔道。
辻だけではない。それぞれの足取りを刻んで、リオデジャネイロパラリンピックを目指す選手たちがいる。その気迫とパフォーマンスを楽しみにしたい。
5月4日には、リオデジャネイロ・パラリンピック柔道競技 日本代表候補選手選考大会が東京・講道館で開催される。男女ともに実施されるが、行なわれるのは日本が出場権を獲得している階級だ。
パラ柔道とは、視覚障害者柔道である。健常者の柔道と大きく異なるところはないが、その中で大きな違いがあるのは、対戦する選手同士がお互いに組んでから、試合が始まることにある。組み手争いがないということだ。そのため、「柔道らしさを味わえる」と評する人もいるほどだ。
ロンドンパラリンピック100kg超級で金メダルを獲得、連覇を目指している正木健人も出場を予定している一人。天理大学時代には、篠原信一氏に指導を受けていた。
ロンドンに続く連覇を目指す正木の戦いぶりも、楽しみなところだ。
どの競技であれ、大舞台を目指す選手たちの意気込みに変わりはない。
それがどのように大会で発揮されるのか、楽しみだ。