炎の一筆入魂BACK NUMBER
あの天然キャラが自己プロデュース!?
2000本安打・新井貴浩の魅せる力。
text by
前原淳Jun Maehara
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2016/04/29 08:10
ドラフト6位でプロ入りした新井が2000本安打で名球会入り。ドラフト6位以下の選手で、過去に名球会入りしたのは福本豊氏のみである。
現役時代の前田智徳は「孤高の侍」を演じた。
過去にもいた。
新井と同じ2000安打を記録した前田智德氏もそうだった。
寡黙にプレーし、「孤高の侍」と呼ばれた。
だが、度重なるケガに悩まされた現役時代、近くで見てきた野口トレーナーは'13年の引退試合を前にこう証言していた。
「ようやく“前田智徳”という看板を下ろせるんじゃないかな。グラウンドでは彼は演じていたように思う。裏ではとても気さくな人間だった」
ユニホームを脱ぎ解説者となった今、当時では考えられないほどよくしゃべる。
プロデュース力は、名選手の条件か。弱みや本音を探られぬよう、心の波を感じ取られぬよう自ら選手像を創り出す。それが自己防衛となり、選手としての個性と価値を高めていく──。
勝負の世界を生き抜く術なのかもしれない。