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F1界で無冠の帝王vs.無敵王者の戦い。
ロズベルグ最大の敵はチームメイト!?
text by

尾張正博Masahiro Owari
photograph byGetty Images
posted2016/04/24 10:40

ロズベルグも表面上は「(ハミルトン相手のチャンピオン争いは)とても楽しみにしているよ」という態度に。
次戦ロシアGPでもしロズベルグが勝てば……。
全8戦で争われた1957年の開幕3連勝(占有率37.5%)を現在に置き換えれば、開幕8連勝相当(同38%)にあたるわけだ。
ただし、もしロズベルグが次のロシアGPも優勝して4連勝となれば、占有率は19%となり、1991年のセナ以降の6例の占有率(18.8%以下)を上回ることができる。
だが、たとえ次戦ロシアGPをロズベルグが制したとしても、ロズベルグがタイトルを獲得するには乗り越えなければならない壁が、もうひとつある。
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それは、開幕3連勝を果たしたときのチームメートの存在である。
無敵のチームメイトとどう競い合えば良いのか?
アスカリ以外の5人は、開幕3連勝を果たしてチャンピオンになった当時のチームメートは、まだチャンピオンに輝いたことがないドライバーだった。つまり、当時の格としては自分のほうが上という立場だった。したがって、開幕3連勝以降もチームから厚いサポートを受けることができたのである。
1953年のアスカリにしても、チームメートのひとりは(当時は1チーム2名以上在籍していた)ジュゼッペ・ファリーナという1950年の王者だったが、アスカリはすでに1952年にタイトルを獲得しており、1953年はディフェンディング・チャンピオン。チーム内での立場は、明らかに上だった。
そこへ行くと、今シーズンのロズベルグは、微妙な立場である。
なぜなら、自らは無冠の帝王であり、チームメートはすでにタイトルを獲得しているハミルトンだからだ。しかも、その数は3度。これまでの9ケースとは、チーム内の状況がまったく異なるのである。
そして、そのことはハミルトンのチームメートを過去3年間務め、今年4年目に入るロズベルグ自身がもっともよく理解している。
「みんなは『開幕3連勝したドライバーは、これまで必ずチャンピオンになってきた』というけど、彼らのチームメートはルイス・ハミルトンじゃなかった。ルイスは過去3度チャンピオンに輝き、この2年間、無敵だった。彼の強さは、僕が一番知っている」