フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
羽生結弦にとっては悔しい銀メダル。
フェルナンデス連覇とボーヤンの躍進。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAsami Enomoto
posted2016/04/04 17:00
ただの緊張ではない。「緊張の“質の違い”に適応できなくて」という難しいコメントを出していた羽生。
やつれていたテン。
男子フリーの翌日、プレス席のセクションにデニス・テンの姿を見かけた。
SPもフリーもふるわず、結局総合11位に終わったテン。ここ数日でげっそりやつれた風情で、まるで体も半分くらいに縮んだように見える。聞けば、日本から匿名の悪質なヘイトメールが殺到して精神的にまいっているのだという。
同じ日本人として大変に残念だけれど、日本のファン全てがそのような人間だとは思わないで欲しい、と言うと「あなたの責任ではない。ぼくは大丈夫だから心配しないで」と逆に慰められた。
「和解した」と大人の対応を見せた羽生。
エキジビションの日の朝の囲み取材で、羽生はスモールメダルセレモニーの後、行きあったテンに自分から握手を求めて和解したことを明かした。
「もちろん彼自身の苦しさもあったし、ぼく自身苦しかったこともありましたけれど、この試合で和解したいなと思っていたので、確かに握手をして和解しました」とさばさばと語った羽生。
来季は気持ちを新たに、スケートに集中できる良いシーズンになることを願いたい。