フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
羽生結弦にとっては悔しい銀メダル。
フェルナンデス連覇とボーヤンの躍進。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAsami Enomoto
posted2016/04/04 17:00
ただの緊張ではない。「緊張の“質の違い”に適応できなくて」という難しいコメントを出していた羽生。
氷の状態に対応できなかったチャン。
SP3位だったパトリック・チャンは、冒頭に予定していた4回転が3回転になり、4+3トウループでは2つ目のジャンプでボードに当たるなど、ふるわない演技で総合5位に順位を落とした。
「いつも言い訳ばかりしているようだけれど、最終滑走で氷に穴がたくさんあいていて、コンディションが最悪だった」と苦笑い。確かに男子フリーの氷は、上から見ても水たまりがあり、スケート先進国の会場とは思えなかった。
同じ条件でもフェルナンデスのようにすべてをやってのけた選手もいるが、エッジを深く使うチャンにとっては滑りにくい氷だったのだろう。
だが今シーズン復帰してたくさんの試合に出たことは、挑戦する価値のある経験だったとチャンは笑顔で言葉を結んだ。
ロシアの新鋭ミハエル・コリヤダ。
総合4位に入ったのは、ロシアの21歳ミハエル・コリヤダだった。
1月の欧州選手権で5位に入賞して、注目を浴びた新星である。
まだジャンプ以外のところは内容が薄いながらも、SP、フリーともに全ジャンプをミスなく降りて、総合267.97と健闘した。
NBCのコメンテーターを務めたジョニー・ウイアーは「ロシアは男子でエキサイティングなことが起きるのを、ずっと待ち望んでいた」と彼を絶賛した。
欧州選手権3位だったマキシム・コフトゥンは、ジャンプミスが重なり18位に終わった。
精いっぱいの滑りを見せた米国男子たち。
この日のフリーでは、やはり地元の米国男子が底力を振り絞った。
全米チャンピオンのアダム・リッポンは回転不足になったものの4ルッツを片足で着氷。最後までノーミスの演技でフリー4位、総合6位に。マックス・アーロンも2度の4回転サルコウを含むほぼノーミスの演技で総合8位。
2人の順位が合計14で惜しいところで3枠獲得には至らなかったものの、2人とも地元の観客から熱狂的なスタンディングオベーションを受けた。