フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
羽生結弦にとっては悔しい銀メダル。
フェルナンデス連覇とボーヤンの躍進。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAsami Enomoto
posted2016/04/04 17:00
ただの緊張ではない。「緊張の“質の違い”に適応できなくて」という難しいコメントを出していた羽生。
ボーヤン・ジン、初の中国男子メダル。
銅メダルは、SP5位から上がってボーヤン・ジンだった。
得意の4ルッツは着氷が乱れたものの、その後4サルコウ1度、4トウループ2度を着氷。フリーで181.13、総合270.99を獲得。思いのほか早く、世界の表彰台に上がってきたなという印象である。
「悪くない演技だったと思う。最初のジャンプはうまく決められなかったけれど、その後立ち直って残りの難しいジャンプを成功させることができた。中国男子として初の世界メダルを手にすることができて、本当に嬉しい」と通訳を介してコメントした。
ここ1シーズンでも、GPシリーズ初頭からこの大会まで見違えるように表現力も磨いて成長してきた。
平昌五輪までには、もっと怖い選手に育っているに違いない。
悔し泣きも3枠取りに貢献した宇野。
宇野昌磨は、『誰も寝てはならぬ』のメロディに合わせて演技を開始。
最初の4回転トウループの着氷が乱れて単発になり、そこから委縮したのか普段よりも滑りにスピードが欠けた。2度目の4回転でひどく転倒しながらも、そこから3アクセルを2度成功させたのは、さすがだった。
演技後、泣きはらした目元を赤くしたまま、ミックスゾーンに現れた。
「これだけ練習してきたのに、自分でその練習量を否定してしまったことが悔しいです」と肩を落としたが、総合264.25で7位。
羽生の2位と合わせて、五輪前最後の世界選手権となる来季の日本男子3枠獲得の任務は、しっかりと果たした。