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巨人・内海が差しかかる“30代の壁”。
工藤、山本昌、三浦と共鳴する意識。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2016/03/03 10:40
2011、2012年は2年連続で最多勝という圧巻のパフォーマンスだった。内海哲也、枯れるにはまだ早過ぎる。
「自分は一番下手なんだと思って取り組む」(内海)
DeNAのベテラン・三浦大輔も事あるごとに口にしている「引き出し」を、この時点で内海は認識していたことになる。
そんな内海は当時、数々のトレーニングを実践していることについて、真摯に思いを伝えてくれたことがあった。
「現状には満足したことはないですし、現役である以上は『自分は一番下手なんだ』と思いながら練習に取り組んでいるつもりです」
'08年まで3年連続2けた勝利をマークし、その後も巨人のエースとしてチームを牽引していた男が、「自分は一番下手」だと言い放ったのだ。その言葉の背景には、並々ならぬ向上心が存在していたのではないだろうか。
現に「内海の自主トレはきつい」と、彼を知る選手の間では有名だという。再起を誓う今年は、ストレッチ効果を上げるためにバドミントンをし、敏捷性を養うべくラグビーを取り入れるなど、新しい練習メニューを精力的に導入した。そして、万全の状態で春季キャンプに臨み、今も順調な仕上がりを見せている。
今季、巨人のキーマンが復活を果たし、再び投手陣の柱として躍動する材料は揃っている。内海がこれまで培ってきたトレーニングや知識は、絶対に嘘をつかないはずである。