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史上最年少の選手会長が残したもの。
池田勇太が作った大会と、その信条。 

text by

桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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photograph byYoichi Katsuragawa

posted2016/02/12 10:40

史上最年少の選手会長が残したもの。池田勇太が作った大会と、その信条。<Number Web> photograph by Yoichi Katsuragawa

2009年の初勝利から、昨年まで毎年勝利を続けている池田勇太は、現日本ツアーのまごう事なきトップ選手である。

27歳という最年少での会長就任に逆風も。

 だが、その歯に衣着せぬ発言や、鼻っ柱が強く、なりふり構わずあらゆる仕事を請け負う姿を、すべての人が快く思ったわけでもない。就任した2013年当時、池田は27歳。史上最年少の会長となったが、いま思えばその「年齢」こそが、最も困難なハードルだったのかもしれない。

「ツアーで戦ってきて、優勝もした(昨年までに通算13勝)。だけど……たかが27歳だったんです。ほかの選手から見て『27歳の“ガキンチョ”が何を言っているの?』というのが本音なんだろうと思った。何かあったときも、人に頼るよりまず自分の手でやれば手間がかからなかった」

 自分に対する批判は「いっぱい聞こえてきました。たぶん、そっちのほうが多かった」という。

「でも、言われて当然だと思うんですよ。上に立つ人が、何も言われないようにみんなの意見を聞いてやっていたら、何も変われない。それは変わろうという意識がないと僕は判断したい。常に反発するわけじゃないんですよ。足並みをそろえる中で、いい方向性を探していかないといけない。批判もこういう立場ならばしょうがないと痛感した」

 今回、大会を主催したレオパレス21の深山英世社長は池田についてこう語っている。

「彼には賛否両論あるが、私は有言実行していると評価している。いろいろ言う人もいるけれど、気にせずにやってきた。話というものは、ある程度声を大にして言わないと伝わらないものですよ」

 出る杭は打たれる。だがその道を突き進んだ。

昭和の香りと、高いITスキル。

「あぶない刑事」が好き。角刈りが定番スタイル。昭和の香り漂う異端児、として知られているが、中身はそれがすべてではない。

 プロになってから、池田はノートパソコンを持ち歩いて全国を転戦するようになった。ブログやSNSで自身の情報を発信するためではない。エクセルを使いこなして日程や仕事の管理をする姿は意外でもある。

 選手会長になったころにはMacBookを使っていた時期もあるが、3年ほど前からはスマートフォンがその役割を十分果たしてくれることを知った。「これで全部、いけるじゃない」。ゲームはやらないが、Googleカレンダーと連動させたスケジュール帳には、これまで携わってきた職務案件がぎっしり詰まっている。

【次ページ】 反発を受けながらも、信念を貫いた。

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池田勇太

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