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マイラーは「短距離馬」でいいのか?
モーリスと外国人騎手で考えるJRA賞。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byKyodo News
posted2016/01/09 10:30
マイラーの年度代表馬としてはタイキシャトル以来。2016年はどの路線で戦うのだろうか。
マイラーとスプリンターはどちらも「短距離馬」?
ところで、昨年の6連勝が1600mと1800mのレースだったモーリスが「最優秀短距離馬」というのはいかがなものか、「最優秀マイラー」のタイトルを新設すべきではないか、という意見が出ている。確かに、「最優秀短距離馬」が「最優秀スプリンター」と「最優秀マイラー」に分かれていれば、昨年の場合、前者はストレイトガール、後者はモーリスになっていたと思われる。ヴィクトリアマイル、スプリンターズステークスとGIを2勝したストレイトガールが無冠にならずに済んだわけだ。
しかし、「最優秀」の冠がつくスプリンターとマイラーのための賞があるなら、中距離馬やステイヤーのための賞も設けるべきではないか、という声も出てきそうだ。そのコンセプトで行くと、「最優秀スプリンター、マイラー、中距離馬、ステイヤー」の4部門か、「最優秀短距離馬、中距離馬、長距離馬」の3部門があれば、不公平感はなくなるのかもしれない。
昨年、ラブリーデイが無冠にならなかったのは、最優秀4歳以上牡馬に選出されたからだ。この部門は、「最優秀2歳と3歳があるのだから、4歳以上の賞も」ということで、全馬齢をカバーするようにしたものだろう。
ということからも、やはりすべての距離をカバーする賞があったほうがいいような気が、書きながらしてきた。
騎手部門を外国人騎手が席巻。
さて、JRA賞各部門の受賞馬には「受賞騎手」という項目もある。その馬が受賞に至る走りをさせた騎手、という意味か。
年度代表馬と最優秀短距離馬のモーリスはライアン・ムーア、最優秀2歳牡馬のリオンディーズはミルコ・デムーロ、最優秀2歳牝馬のメジャーエンブレムはクリストフ・ルメール、最優秀3歳牡馬のドゥラメンテはデムーロ――と、10部門のうち半分の5部門が外国人騎手だ。
またJRA賞の騎手部門では、最多勝利が130勝の戸崎圭太、最高勝率が1割9分5厘のルメール、最多獲得賞金が28億314万6000円のデムーロ、となっている。