生まれつきの精神力か、彼なりのメンタルコントロールか。

　もう、お気づきだろう。そう、彼こそは究極のポジティブ思考の持ち主なのだ。

　松山は、ストイックで気難しいと思われている節がある。もちろん、練習にしろトレーニングにしろ、妥協することなく理想を追求していく姿勢であることに違いはない。だがその反面、彼はスパッと気持ちを切り替える。仏頂面でホールアウトしたときでも、数分後には、あっけらかんと笑顔を見せる。

　そして、自分の心がポジティブになれるものを見つけ出すのが上手くて早い。 全米プロの地味な組み合わせや早朝スタートを知ったときも「静かに回れるからいい」。ショットが悪ければパットに望みをつなぎ、パットも悪ければ、かすかに感じ取った好感触に向上の兆しを見出そうとする。そして最後は「どうしようもない」と割り切る。

　それは生まれ持った強靭な精神力なのか。それとも、そうしようと努めて行なっている彼なりのメンタルコントロールなのか。屈託のない笑顔を見る限り、おそらく前者なのだと思う。だがもしも後者だとすれば、恐るべきメンタルコントロール術。いずれにしても、プロゴルファーにとって、これ以上の武器はきっとない。

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