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-72の阪神首位、+26で広島6位!?
得失点差と順位の“異常”な関係性。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byNanae Suzuki
posted2015/06/27 11:00
得失点差は大幅にマイナスだが、順位は首位という阪神。勝負強いということなのか、崩れる危険があるということなのか……。
得失点差ダントツ最下位の阪神が首位!?
首位の阪神は、得失点差でセ・リーグはおろか、12球団のなかでダントツ最下位なのである。68試合を消化してマイナス72。
6月13日にはオリックスに1-15、翌14日に1-10で敗れるなど、阪神はどかんと負けるパターン。序盤に流れを持っていかれると、跳ね返す力はないのだが、先制点を取ればゲームは作れる。
優勝するために必要な「1点差ゲーム」は13勝9敗と勝ち越しているが、絶対にモノにする安定感はない。6月23日の広島戦ではクローザーの呉が1点差を守ることが出来ず、引き分けに終わった。
首位ではあるが、チーム状況としては不安が残る。
この「アナーキー」な状況はどう変化するのか。
セ・リーグでさらに驚いてしまうのは、得失点差では広島がプラス26でトップなのに、順位は最下位ということだ。
広島の問題はハッキリしていて、1点差ゲームに異常に弱いということである。12勝19敗という戦績で、もしも16勝15敗の五分で乗り切っていたら、単独トップである。
そもそも、67試合戦って半分近くが1点差ゲームというのも精神的にかなり疲労が溜まるだろう。5月までは序盤に1点を取られ、そのままズルズルとゲームセットというケースが目立った。
しかしオリックスで指摘したように、得失点差でプラスのチームは本当に実力があるのも間違いなく、波に乗れば一気に勝ちだすことは十分に考えられる。
現在、セ・リーグで得失点差でプラスなのは巨人、ヤクルト、広島。いまのところ、リアルな順位に得失点差はまったく反映されていない。この「アナーキー」な状況がどう変化していくのか、予断を許さない。