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W杯連覇に挑む23人がベストな理由。
なでしこの勝てない相手に勝つ方法。
posted2015/06/03 11:00
text by
細江克弥Katsuya Hosoe
photograph by
AFLO
女子代表「なでしこジャパン」が挑む7回目の女子ワールドカップが、間もなく幕を開ける。
開催国カナダと中国が対戦する開幕戦は6月6日。グループCに属する日本は、8日にスイス、12日にカメルーン、16日にエクアドルと対戦する。まずはグループリーグ突破を目指し、その先に2大会連続の世界タイトルを見据える。
前大会王者である日本のFIFAランキングは、ドイツ、アメリカ、フランスに次ぐ4位。英大手ブックメーカーの『ウィリアムヒル』が発表した優勝オッズでは、アメリカ、ドイツに次ぐ3番人気。つまり今大会におけるなでしこジャパンは、紛れもない「優勝候補の一角」である。もちろん日本国内においても、「4年前の栄光を再び」という期待感が大きい。
しかし、ピッチに立つ選手たちの感覚はそれとは大きく異なる。
ちょうど1年前、アジアカップを制してW杯への出場権を獲得した直後のタイミングで、キャプテンの宮間あやに話を聞いた。「実力を結果に結びつけられる自信がついてきたのでは?」という質問に対して、彼女はあっさりと首を横に振った。
「うーん、そうでもないんですよ。特にW杯優勝は、どちらかと言えば“してしまった”という感覚。しかるべき準備をして当然の結果を得たわけではなく、今になって試合を見返すと、『ヘタだなあ』って思いますから。1年後の五輪も、そのままの勢いで戦ったという感じ。サッカーを知っている人なら、きっと『ロンドン五輪はW杯のようにうまくいかない』と思っていたはずだし、自分たちもそう思っていました」
勝てる相手じゃないチームに勝つ感覚。
――ロンドン五輪も「今の日本なら勝てる」という目線ではなかった?
「もちろん。そういう冷静な部分を持ちながら、『絶対に何とかする』という気持ちでピッチに立っていました。でも、例えばフランスなんて、普通に勝てる相手じゃなかったんです。本当に、めちゃくちゃ強いんですよ。それを崩す準備ができていたかと言われれば、やっぱりそうじゃなく、準備ができていない中で何とか勝ち切ったという感覚で……。ただ、そういう気持ちの強さは日本にとって武器なので、それは失いたくないですよね」
――そういう意味では、メンタリティさえ整えば今の日本には世界の頂点を狙えるポテンシャルがあるとも考えられる。
「いや、うーん……。そうですね、ギリギリのところだと思います」