Jをめぐる冒険BACK NUMBER
小野伸二、宮市亮、オリヴェイラ。
アンドレ・バイアを日本に導いた縁。
posted2015/03/28 10:35
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
『Number』最新号でラモス瑠偉が“日本人選手で唯一の天才”だと認めたのが小野伸二。そんな小野に魅せられた選手が、今シーズンの新助っ人の中にもいる。
「彼(小野)のプレーを見ていると、サッカーってなんて簡単なスポーツなんだって思えてしまう。それぐらい彼は、難しいプレーを実に簡単にこなしていた。ブラジルでそんな選手をたくさん見てきた私の目にも、彼は特別な選手に見えたよ」
言葉の主は、小野とチームメイトになった2004-05シーズンから7年間にわたってオランダのフェイエノールトに所属したセンターバックのアンドレ・バイアだ。その後、トルコのサムスンスポル、ブラジルのボタフォゴを経て、2年ぶりにJ1に復帰した湘南ベルマーレに今シーズンから加入した。
湘南のゲームを観ていてまず驚かされるのが、ボールを失った瞬間にすぐさま奪い返しに行くトランジションの速さだ。続いて、ボールを奪った勢いそのままにペナルティエリアに4人も5人も飛び込んでいくスピード感と迫力にも目を奪われる。
もっとも、常に敵陣でボールを刈り取れるわけではない。攻め込まれるシーン、クロスを放り込まれるシーンを眺めているうちに、くさびのパスをインターセプトし、空中戦でもことごとく勝利する褐色のディフェンダーの姿に自然と視線が吸い寄せられた。3バックの中央で存在感を放つ彼こそ、湘南の新助っ人、アンドレ・バイアだ。
「100%の力を入れない」という1対1の対応。
オランダやトルコ、ブラジルで積んだキャリアが伊達ではないことを、3バックを組む三竿雄斗も感じ取っている。
「スピードは全盛期と比べて落ちていると思うんですけど、1対1の間合いの取り方や寄せのタイミング、くさびを入れるタイミングはさすが。なかでも参考になるのが1対1の対応です。100%力を入れていないというか、相手がシュートモーションに入ったとき、7割はブロック、3割は相手の切り返しに付いて行けるようにしている。だから、キックフェイントに簡単に引っかからないんです」