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無敗の弥生賞馬サトノクラウンの衝撃。
クラシックで起きる「西高東低」逆転。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2015/03/09 11:30
鞍上の福永祐一も「修正すべき点も何も見当たらない」と手放しで称賛するサトノクラウン。8kg増で弥生賞を完勝しており、今後の上積みも期待できる。
渋った馬場にしては流れが速くなり、直線へ。
1、2コーナーを回りながらジャストフォーユーがリードを2馬身ほどにひろげ、シャイニングレイが単独の2番手につけた。
向正面に入ると馬群は縦長になり、先頭から最後方まで15馬身以上になった。1000m通過は61秒3。渋った馬場を考えれば速い流れだ。
3、4コーナー中間地点で、最後方のタケルラムセス以外の10頭は一団となり、シャイニングレイ、コメートらが、逃げるジャストフォーユーに並びかけて直線に入った。
先頭はわずかにシャイニングレイ。馬場の真ん中からサトノクラウン、さらに外から後方に控えていたグァンチャーレとブライトエンブレムが伸びてくる。
ラスト200m地点でサトノクラウンがグイッと抜け出し、福永の左鞭に応えてさらに脚を伸ばす。
大外からブライトエンブレムがグァンチャーレを競り落として追いすがったが、サトノクラウンは余裕を持って先頭でゴールを駆け抜けた。
無敗で弥生賞を勝った過去9頭中、7頭がクラシック馬に。
勝ちタイムは2分1秒8。2着のブライトエンブレムとの差は1馬身半。さらに2馬身半差の3着には、後方でレースを進めたタガノエスプレッソが突っ込んできた。これら3頭に皐月賞の優先出走権が与えられた。
4着はグァンチャーレ。3番人気のトーセンバジルが5着、1番人気のシャイニングレイは7着だった。
無敗で弥生賞を制したのは、2009年ロジユニヴァース以来6年ぶり10頭目。過去の9頭のうち7頭がクラシックを勝ち、5頭がダービー馬、2頭が三冠馬(1984年シンボリルドルフ、'05年ディープインパクト)になっている。
「完成度が高くて操作性もよく、上手な競馬ができる。もともと獲得賞金が足りていたので、きょうはどうしても勝たなければいけない競馬ではなかったのですが、いい形で次に向かえますね。乗りやすい馬なので、大きなところでもコンスタントにいい結果を出せると思います」と福永は語った。