セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
人件費予算は最少、監督は元銀行員。
残留を狙うエンポリの「弱者の兵法」。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2015/02/19 10:30
エンポリのサッリ監督の年俸はセリエAで最も安く、その額はミランのインザーギ監督の5分の1程度といわれている。
3連敗直後に契約を延長した、クラブからの絶対的信頼。
クラブが指揮官へ寄せる信頼は、この上なく厚い。何せ、昨年11月の3連敗直後に、'17年夏までの契約を延長したほどだ。
サッリは何かの間違いで、サッカーの世界に迷い込んだのではない。
「朝8時から夜10時まで働く。毎日だ。銀行員時代の経験や習慣は、合理的や論理的であること、スケジュールを目一杯組むことに今も役立っている」
残留戦線は、最下位パルマが早々に脱落濃厚だ。降格への残り2枠を何としてでも回避するべく、残留争いは終盤に向けて混戦化する。
「昨季、サッスオーロは勝ち点34で残留した。例年40点前後とされる残留ラインは下がっている」と、サッリは冷静に分析する。
自分たちの実力と予算を相対視して、資産(=選手)を運用しながら、最終目標(=残留)に向かって勝ち点1を実直に積み立てていく。
弱者の戦い方の一つの理想型がここにある。