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J1残留争いの5クラブを徹底分析!
密かに注目する、清水の“切り札”。
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2014/11/21 10:30
大榎監督就任後だけで3ゴールを決めている清水の切り札・村田和哉。Jリーグの「オリジナル10」で降格経験のない清水を襲った危機を、跳ね返すことができるか。
清水の頼れる切り札・村田和哉が急成長中。
最後に、筆者が注目しているのは清水だ。清水は天皇杯で準決勝まで勝ち残った結果、他チームよりも1試合多く公式戦が組み込まれる過密日程となる。
ただ清水には、急成長中の頼れる切り札が存在する。
村田和哉、である。
野洲高で乾貴士と同級生だった村田は、大学卒業後にC大阪を経て'13年途中に清水へ加入した。昨年までの3年間でゴール数は3。どちらかというとチャンスメーカーの印象が強かった。今季はここまでリーグ戦27試合に出場しているが、すべて途中出場だ。
その村田が、7月に大榎克己監督が就任してからの3カ月間だけで3得点をマークしている。「スーパーサブ」としての役割を十分すぎるほど果たしているのだ。
そのゴールも徳島、C大阪という残留を争うライバルから勝利をもぎ取る一撃、そして前節の川崎戦では終了間際の決勝点と、すべて重要な局面で生まれたものだった。
村田「常に自分がチームを救おうと思ってます」
劇的な勝利を挙げた川崎戦後、大榎監督は村田の特徴、そして信頼をこう語っている。
「スピードや裏への飛び出し、ドリブル突破を期待して使っています。彼は短い時間でも結果を残してくれますし、練習後も1人で黙々とシュートを打っている。そういう地道な努力が実ってくれてうれしく思います」
村田自身は、C大阪時代にチームメートだった播戸竜二を信奉し、明るいキャラクターの“有言実行タイプ”である。それはダメ押し点を挙げたC大阪戦の言葉が象徴している。
「常に自分がこのチームを救おうと思ってます。自分がゴールすることだけを練習からイメージしてたので“(ゴールは)当然やったな”ぐらいの気持ちです」
ややもすれば強引に見える突破が、膠着した展開を打破することがある。村田の自信は、チームにも活力を与えているように映る。
「シックス・ポインター」での勝利か、残留争いの経験値と粘りか、切り札の一撃か――。今年のJ1も、最終節まで目の離せないサバイバルとなりそうだ。