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ドラフト指名選手が明治神宮大会に!
プロ入り直前、7人の大学生たち。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2014/11/10 11:00
11月3日に東京六大学リーグで優勝を決め、意気揚々と明治神宮大会に乗り込む明治大学のエース・山崎福也。オリックス1位指名を受けた才能を、プロ入り前に見せつけられるか。
駒澤大の阪神3位、江越は走守に特長が。
16日には駒澤大が登場する。対戦相手は中部学院大対九州産業大の勝者。阪神3位の江越(駒澤大)はこの秋こそ打率.357(リーグ4位)と好成績だったが、4年春までの通算打率は.212と低い。それでもスカウトの評価は高く、「ドラフト3位」くらいの評価がされていた。つまり秋に3割台に乗せなくてもドラフト3位くらいの指名はあったかもしれない。これはちょっと凄い。評価されていたのは打撃以外の走守である。
距離が延びれば延びるほど際立つ俊足に、センター定位置からノーバウンドで放れる強肩は、努力しても手に入れることができない。そういうアスリートとしての素質が非常に高く評価されていた。この秋は、さらに打撃が追いついた。江越の4年間の集大成がどれほどのものなのか目に留めたい。
駒大のもう1人の注目選手が左腕・今永昇太だ。この秋は7勝2敗、防御率1.67(リーグ3位)でMVP、最優秀投手、ベストナインと投手のタイトルをすべて獲得した。完投8は2位の3個を遥かに引き離しているように、スタミナも十分。全国大会初登場でどんなピッチングを見せるのか今からわくわくしている。
ドラフト指名選手と来年以降のドラフト候補に光を当てて出場校を紹介したが、優勝争いに目を転じれば明治大と駒澤大がやはり強い。伏兵は明治大がいるゾーンでは富士大対創価大の勝者、駒澤大がいるゾーンでは中部学院大対九州産業大の勝者。
今年の大学選手権では優勝候補の慶応大が神奈川大に、亜細亜大が創価大に敗れ、揃って初戦(2回戦)で姿を消している。首都圏と地方勢の力の差が年々狭まっている――これは大学野球を見続けている者としての実感である。重ねて言うが波乱があるとしたら駒澤大の初戦、明治大の準決勝だろう。