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ミランの一流選手が心から信頼する、
遠藤友則トレーナーの「整える」技術。
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byGetty Images
posted2014/10/13 10:40
15年前にイタリアへ渡り、ミラン一筋で治療をしてきた遠藤友則トレーナーは、現在、ムンタリやデヨングなど有力選手たちが列をなすほどの人気となっている。
「『遠藤チェック』と呼ばれる最終チェックがある」
今では、チームで遠藤の取り合いが起こっている。例えば、オランダ代表のデヨングとガーナ代表のムンタリは常連。リバプールに移籍したバロテッリも、ミラン時代は練習前に誰が先に遠藤の治療を受けるかという争いに加わっていた(Number 862号を参照)。
もはや選手たちにとって、遠藤は欠かせない存在だ。
「ミランには『遠藤チェック』と呼ばれている僕の最終チェックがあります。仰向けに寝てもらって、足の裏に両手をそっと添えるんですよ。そこでたくさんの情報を入手しようと色々イメージするんです。イメージが大切なんです。なぜここの筋が張っているのか、なぜこの関節が滑らなくなっているのかなと。その原因を探るんです」」
ミラノと日本を行き来する生活になる可能性も?
ひとつ残念なのは、遠藤がミランで働くのは今季が最後かもしれないということだ。恩師が千葉市で経営する整形外科医院に入ることを決め、すでに準備のために1カ月に1回のペースで帰国している。
「清水東高校の3年生のとき、この恩師に膝を手術してもらいました。それがこの道に進むきっかけになったんです」
とはいえ、選手がそれを許してくれないかもしれない。過去にも、日本に帰国しようとした遠藤を選手たちが必死に引き留めたことがあった。
「もしかしたら日本とミラノを行き来することになるかも(笑)。でもまずは今季に集中したい。ときどきインザーギ監督の体も整えますよ。監督は立ち仕事なので意外に足に疲れがくる。その疲れを取ってあげるんです」
ミランを再び復活させるために、遠藤は選手たちの体を整え続ける。