プロ野球亭日乗BACK NUMBER
白い歯も、過剰な演出も必要ない!
ギラギラした“夢の球宴”を取り戻せ。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2014/07/11 10:30
160kmを連発している大谷翔平投手も、オールスターに選出されている。最高のストレートと、茶番劇。ファンがどちらを欲しているかは明らかではないだろうか。
今年のファン投票は昨年から17万票以上の大減少。
今年のオールスターのファン投票は162万7450票で、最多得票はオリックスの糸井嘉男外野手の48万7246票だった。
以前はインターネットでの投票が無制限だったが、2004年から1日5回までに制限され、'08年からは1日1回と投票ルールの変更がなされたことはあるが、以前は100万票を越える得票の選手が多くいたのに比べると、票数は半数以下に落ち込んでいる。
また投票総数も10年前の約396万票から230万票余減少した。昨年(180万4181票)と比べても17万6731票減という大幅な減少だった。
オールスターに白い歯も過剰な演出もいらない。
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しかもセ・リーグは前半戦の広島の躍進を受けたのか、広島から8選手が選出され、その中には故障で公式戦には48試合しか出場していなかったキラ・カアイフエ内野手も選ばれた。選手間投票でDeNAのT・ブランコ内野手、ヤクルトのW・バレンティン外野手、阪神のM・マートン外野手が、また三塁手部門で巨人の村田修一内野手が選ばれたために、選手間投票を含めると6人が上限という外国人選手枠から首位打者のH・ルナ内野手(中日)が選から漏れるという歪んだ事態も引き起こしている。
そんなオールスターゲームの本当の価値とは、いったいどこにあるのだろうか?
純粋にその年、最も光っている選手たちが集い、たった1試合だけ純粋に自分のパフォーマンスのプライドをかけた真剣勝負を見せる――そこには白い歯もいらないし、過剰な演出も一切、必要ない。そういう対戦が観られるならば、もう一度、現場に足を運んで真剣に取材をしてみたいと思う。
そしてそんな本当の“夢の球宴”を取り戻せるのは……。機構でも球団でもない。選手自身にかかっているということなのである。