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W杯決勝の審判はどうやって決まる?
過酷な“査定”と“トーナメント”。 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2014/07/08 10:30

W杯決勝の審判はどうやって決まる?過酷な“査定”と“トーナメント”。<Number Web> photograph by Getty Images

2012-2013シーズンにはCL決勝の主審も務めたリッツォーリ。自身最後のW杯で、決勝の笛を吹くことができるだろうか?

通例を破ってまでも鎮めたかった審判批判。

 新たに導入された得点判定システム「ゴールコントロール4D」やFKに対する壁の距離を明確に可視化するバニシング・スプレーの採用によって、ブラジルW杯は、審判にとっても大きな転機の大会になった。

 全ての試合をモニタリングするFIFA審判選定委員会は、グループリーグ終了時に全審判を査定した。決勝トーナメントの試合を裁くに不十分と判断された審判は、この時点でふるい落とされる。

 大会開幕戦の笛を吹いた西村雄一主審のPK判定が、物議を醸したことは記憶に新しい。

 3-1でブラジルが逆転勝ちした試合の決勝点は、FWフレッジが倒れたプレーに西村主審がPKを与えて生まれた。試合後にクロアチアが猛抗議し、FIFAが同審判を擁護するコメントを出す事態になった。

 グループリーグの審判は、対戦国が属する2つの大陸別協会以外から指名されるのが通例となっている。しかし、クロアチアの2戦目となったカメルーン戦を裁いたのは、UEFA“Elite”の一人であるペドロ・プロエンサ審判(ポルトガル)だった。審判選定委員会は、通例を破ってでもEURO2012決勝戦を裁いた実績と信頼ある有名レフェリーを起用することで、審判批判の鎮静化を図ったのだ。

MLBのチャレンジに似た制度が導入されるか?

 メキシコ対カメルーン戦では、線審の明らかな見落としもあり、ウィルマル・ロルダン主審(コロンビア)が、本来は有効だったFWドス・サントスの2ゴールを取り消した。

「1試合につき2度まで、判定に異議を唱える権利を監督たちに与えたい」

 開幕前日、FIFAのゼップ・ブラッター会長が披露したアイデアは、MLBが今季から採用している“チャレンジ”制度に酷似している。試合中のビデオ判定導入の是非は、来年2月のFIFAインターナショナル・ボードで議論される見込みだ。上記の2試合は、最新のW杯で問題視されたケースとして、くり返し議題にのぼるだろう。西村審判のジャッジが、世界のサッカーに与えた影響は決して小さくなかったのだ。

【次ページ】 2大会続けて同じ大陸から決勝の主審は出ていない。

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