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W杯決勝の審判はどうやって決まる?
過酷な“査定”と“トーナメント”。
posted2014/07/08 10:30
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Getty Images
イタリア代表は早々にブラジルW杯を後にしたが、決勝戦の舞台に立つことを夢見るイタリア人がいる。
ニコラ・リッツォーリは、イタリアが生んだ20人目のW杯審判だ。'09-'10年シーズンから、欧州中に20人余しかいないUEFAのレフェリー・トップグレード“Elite”の一員となり、CLなどの重要な国際試合を裁いている。
彼が欧州派遣のレフェリーとして初めて参加するブラジル大会も、準決勝の2試合と3位決定戦、決勝戦を残すだけになった。
13日の決勝戦の舞台は、聖地マラカナンだ。W杯のファイナルで笛を吹くことは、世界中の審判にとって至高の到達点だろう。
ブラジルW杯には、各大陸協会から計33人(リザーブ含む)の審判が派遣されている。最大の欧州が10人、次いで南米の6人。アフリカ、アジア、中北米が5人ずつで、最も少ないオセアニアが2人だ。
審判は決して“驚いてはいけない”。
審判団は、大会前にリオ郊外でトレーニング・キャンプを張り、体調を整え情報交換をくり返した。そこで、レフェリングに関する今大会の基本方針が決まった。
「試合の流れを読むことと、両チームの戦術の状況を見極めること。審判はグラウンドで起こるいかなることにも“驚いてはいけない”」
大会の初戦が一番難しい、とリッツォーリは言う。
「代表チームなら初戦を失敗しても取り返しがつく。しかし、大会最初の試合でミスをした審判が決勝戦を裁けることはないんだ」
リッツォーリは、大会2日目に衝撃を与えたスペイン対オランダ戦やグループFを締めくくるナイジェリア対アルゼンチン、そして準々決勝のアルゼンチン対ベルギー戦の3試合を裁いた。彼のレフェリングは、ここまでの時点で高い評価を受けている。