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イングランド2連敗で早々に敗退も
ホジソン続投で見える"明るい未来"。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2014/06/26 10:30
グループ最終コスタリカ戦の先発メンバー。21番バークリーや7番ウィルシャー、23番ショーなど若手が出場機会を得た。
ジェラード「差は縮まっている」
冷静に考えれば、ドイツに実力差を見せつけられたW杯前回大会での決勝トーナメント1回戦敗退や、イタリアを相手に守備に終始したEURO2012での準々決勝敗退よりも、敗退に伴う「惨敗感」は弱いはずだ。
2年前のイタリア戦を「技術の差を痛感するばかりで手も足も出なかった」と振り返ったのはキャプテンのスティーブン・ジェラードだが、そのジェラードは「差は縮まっている」と、今回の敗戦後にコメントしている。結果のみならず試合内容でも悔しい思いをしているルーニーも、早期敗退とは裏腹に好感触を口にしている。
「過去2、3回の国際大会では、敵を警戒してばかりで攻めたとは言えなかった。違った戦い方ができたんじゃないかと後で思うこともあった。けど、今回の俺たちは勝負を挑んだ。ロイの下でチームは進歩している」
想定内のGL敗退と、予想以上の若手抜擢。
イタリアとウルグアイに敗れてのグループステージ敗退は、最悪のシナリオではあるが、その可能性は「死の組」に入ったグループ抽選直後から指摘されていた。つまり、全くの予想外ではない。
これに対してホジソンは、ジェラードとルーニーも認める「進歩」を実現する過程で、良い意味で周囲の予想を裏切ってもいる。「保守的」と見られていた指揮官が、若手の多いメンバーを引き連れてブラジル入りし、実際に若手を起用して攻めの姿勢を貫いたのだ。
ダニエル・スタリッジとラヒーム・スターリングは、未知数のW杯未経験者から、それぞれ1トップと2列目で欠かせない戦力へと昇格した。イタリア戦で披露したスタリッジの決定力とスターリングの突破力は、黒星発進の痛みをやわらげるだけの効果を持っていた。
続くウルグアイ戦では揃ってインパクトに欠けたが、若さにはパフォーマンスのばらつきという弱点が付き物。その弱点を改良するために必要な大舞台での貴重な経験を、強豪国相手の2試合連続先発出場で得たと言える。