ブラジルW杯通信BACK NUMBER
イングランド2連敗で早々に敗退も
ホジソン続投で見える"明るい未来"。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2014/06/26 10:30
グループ最終コスタリカ戦の先発メンバー。21番バークリーや7番ウィルシャー、23番ショーなど若手が出場機会を得た。
結果は過去最悪でも、復活の道は見えた。
ホジソンは、コスタリカとのグループ3戦目を前に、若手4人のスタメン起用を公表。2列目ではアダム・ララーナとバークリー、中盤中央ではウィルシャー、4バックでは左SBにルーク・ショー、中央にスモーリング、右SBとしてジョーンズがW杯で先発経験を得ることになった。
世間では、テレビ解説者のジェイミー・レドナップをはじめ、惨敗イメージを軽減するためにW杯最終戦にはベストメンバーで臨むべきだとも言われていた。この点においても、妙なプライドではなく、代表の今後を意識した指揮官のスタンスは評価に値する。
ブラジル大会でのホジソンに落ち度があったとすれば、開幕を前に「優勝を狙える」と口にしたこと。強化合宿での手応え以上に、愛国心が言わせたのだろう。
そして、「サッカー発祥の地」の母国民にとって、心の底で覚悟はしていても、2試合目で決まったグループステージ敗退は屈辱だった。最後のコスタリカ戦もスコアレスドロー。だが、次世代中心のイレブンは相手GKの好守にはばまれながらも主導権を握って攻め続けた。
スモーリングが逆サイドにプレーを振った後、ウィルシャーとのワンツーからスタリッジのシュートが惜しくも枠を外れた後半の一場面は、代表の将来に期待を抱かせる象徴的なシーンだった。
大会中のホジソンが自身に課された本来の任務を見失わずに指揮を執ったように、大会後の国民も冷静に物事を判断しなくてはならない。たしかに、W杯での成績としては過去最悪のブラジル大会だった。しかし、復活プロセス前半の国際大会としては、近年で最も意義のあるブラジルでの3試合だったのだから。