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7年ぶりの牝馬か、超良血馬か……。
見どころ満載、大混戦のダービー。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2014/05/31 08:00
トゥザワールドの父はダービーのレコードを持つキングカメハメハ、母はオークス2着のトゥザヴィクトリー。ダービーを勝つために生まれてきたような血統だ。
皐月賞の最速ラップ、ワンアンドオンリー。
皐月賞でラスト3ハロン34秒3という最速ラップを記録しながら4着と差し届かなかったワンアンドオンリー(父ハーツクライ、栗東・橋口弘次郎厩舎)も逆転候補だ。これが現役最多の20頭目のダービー参戦となる橋口調教師は、1996年ダンスインザダーク、'04年ハーツクライ、'09年リーチザクラウン、'10年ローズキングダムと、4度もダービーで2着になりながら、いまだ勝利がない。再来年の2月で定年なので、ダービーに管理馬を送り出せるのは今年を含めてあと2回。自身が管理したダービー2着馬の産駒で、悲願のタイトル奪取を狙う。
武豊、トーセンスターダムでダービー6勝目なるか。
青葉賞を勝ったショウナンラグーン(父シンボリクリスエス、美浦・大久保洋吉厩舎)を管理する大久保調教師は来年2月で定年を迎えるため、これが最後のダービーになる。この馬は、自身の管理下でGIを5勝した名牝メジロドーベルの孫で、手綱をとるのはドーベルの主戦でもあった愛弟子の吉田豊だ。馬というのは人の想いに応えて予想外の力を発揮することがままあり、ましてこの馬には強力な血統的背景もある。
もう一頭、忘れてはならないのが、前人未到のダービー6勝目がかかる武豊のトーセンスターダム(父ディープインパクト、栗東・池江泰寿厩舎)だ。無敗の3連勝で臨んだ皐月賞では、馬場の悪い3コーナーで戦意を喪失して11着に惨敗。しかし、その皐月賞で11着同着だった牝馬のバウンスシャッセが、次走のオークスでコンマ1秒差の3着と巻き返している。同じようにトーセンスターダムが奮起しても不思議ではない。