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ベンゲルが9年ぶりのトロフィー獲得。
アーセナル、170億円の補強計画は? 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2014/05/29 10:50

ベンゲルが9年ぶりのトロフィー獲得。アーセナル、170億円の補強計画は?<Number Web> photograph by Getty Images

ウェンブリーでのFAカップ決勝後にトロフィーを掲げるベンゲル。久々のタイトルが、長期政権にさらなる安定感をもたらす。

ハルは今季16位、しかも主力を欠いていた。

 しかし、決勝翌日の優勝パレードでTVカメラを向けられたサポーターのように、「来季はプレミア王者だ!」と吠えるのはまだ早い。仮に今回のハル戦が延長のないリーグ戦だったとしたら、そのサポーターでさえ2-2で終えた90分間に来季への希望を失っていたに違いない。

 チームパフォーマンスは「並」。先発メンバーで出来が良かったと言えるのは、ラムジー、カソルラ、ジルー、コシェルニーの4名ぐらいだ。

 それでも勝利を収めた事実が強者の証という見方もあるが、相手は今季リーグ16位の昇格組だ。ハルの中核はトム・ハドルストーンとジェイク・リバモアの両MF。アーセナルの地元の宿敵トッテナムで不要とされた2名だ。前線では、今冬の移籍で残留への追い風を生んだニキチャ・イェラビッチとシェーン・ロングの新2トップが前所属先で今季FAカップに出場済みだったことから、移籍先での出場が許されない状態。そのハルにアーセナルは苦戦したのだ。

170億円の補強予算、最優先は守備的MFか。

 この事実からも、ベンゲルは1億ポンド(約170億円)とも言われる補強予算を躊躇せずに活用し、昨夏のエジル獲得に続く即戦力購入を進める必要があると見る。メディアでは、バルセロナからのセスク・ファブレガス再獲得の可能性が盛んに報じられている。

 たしかに、元キャプテンで1度目はユース時代に獲得された「準生え抜き」のUターンは、戦力アップと同時に更なる高揚感を生むことになる。だが、攻撃的MFとしては、セスク自身が「後継者」と認めたウィルシャーの他に、そのウィルシャーを控えに回すほどの飛躍を遂げたラムジーという逸材が既にいる。

 最優先すべきは守備的MFの獲得だ。純然たるボランチは、昨夏に出戻り移籍を果たした30歳のマテュー・フラミニのみ。レギュラー格のミケル・アルテタも斜陽期の32歳。レバークーゼンのラース・ベンダー、バイエルンのハビエル・マルティネスらが噂の候補と言われるが、サウサンプトンのモルガン・シュネイデルランも興味深い。今季リーグ8位のレギュラーとしてプレミア経験もあるフランス人MFは、パスワークも確かなアーセナル向きのボールハンターだ。当人はCL出場クラブへの移籍を望んでもいる。

【次ページ】 ジルーの決定力はトップレベルにはない。

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