野球クロスロードBACK NUMBER
広島・大瀬良大地はさらに化ける!?
「不器用な本格派」を返上せよ。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byHideki Sugiyama
posted2014/05/12 11:50
まさに本格派というに相応しい力感あふれるフォームから速球を投げ込む大瀬良大地。5月12日時点で前田健太と並び4勝でチームの勝ち頭だが、打者に特徴を覚えられるここからが真価を問われる戦いになる。
ディテールを大切にした投球で、巨人にリベンジを。
球威に頼って無造作に速球を投げ込むのではなく、初球の入り方や組み立てを考えるようになっていることだ。試合後のコメントからもその変化は読み取れる。
「『1球、1球しっかり投げよう』ではなく、『初球に外角のストレートを投げて打ち取ろう』とか、そういうことを考えていました。打たれたのは、フォーム的なことを考えすぎてしまったというか。スライダーを投げる時に、指に引っ掛かり気味になってボールを操れなかったこともありましたけど、腕の振りといったところをうまく修正できなかったことが良くなかったですね」
ノックアウトは結果論にすぎない。数字では測れない成長の兆しを、大瀬良はヤクルト戦で見せていたのだ。
新たなスキルを手にできるか否か? 試金石は間もなくやってくる。登板が予想される16日からの巨人3連戦。リベンジを果たすには絶好の相手である。
次回の登板について問われると、大瀬良はどことなく曇りがちだった表情を一変させ、気持ちを引き締めるように前を向いた。
「6回の反省を次に生かしたいですね。しっかり投げられるように頑張ります」
反省をプラスに転換できた時、大瀬良は「器用な本格派」へと大きく前進する。