「おたくもKYっすか？」

　しばらく走ると、おや、東京湾に浮かぶ（たぶん）一番東京都心に近いミニ工業地帯スポットがある。アサノコンクリートの品川工場だ。お台場への新交通システム「ゆりかもめ」などからはっきり見え、誰もが「あれ何だろう？」と思う、あの工場のことだ。

　ひっきりなしにダンプトラックが出入りし、現在でも活発に操業を続けているんだけど、ちょっと笑ってしまったのが、入り口に掲げられた安全標語の大看板だ。

「KYの心で安全作業」と書いてある。

　KYの心？　空気が読めない、の心？　かえって危険なのでは？　などと思ってはいけない。KYすなわち「危険・予知」なのである。もとよりKYはこちらの方が元祖でありまして、工事現場などでは、とっくに普通の用語だったのだという。

　写真を撮ってたら「おたくもKYっすか？」と、タバコを吸ってた2人組の作業員が聞いてきた。

　そうだと答えると「ずいぶん前に女子高生たちが、きゃあきゃあ笑いながら撮りにきたの、見たことありましたよ。アレでしょ、空気が読めないっていう（笑）。こっちの方が本家本元なんですけどねぇ」。

　私も、その女子高生たちと同類である。まことにすまぬ。ちょっと恥じ入る。

中央環状線のシールド工事に萌え。

　さて、港南大橋からはレインボーブリッジを左手に見ながら、新幹線の引き込み線に沿って走っていく。

　おやおや、このあたりは大型トラックの駐車が多いね。みんなここで港から荷が上がる時間を待って、各地に出撃していくのだ。

　もう少し行くと「中央環状線シールド工事」の工事現場が見えてくる。巨大な機械がもぐらのようにトンネルを掘っているわけね。ふむふむ、看板を読むと、この中央環状線品川線が完成すれば、首都高中央環状線、いわゆる「中環」ってヤツはようやく全面開通のはこびとなる。工事完成は2年後。

　さらにしばらく行くと、今度は品川区資源化センターが見えてくる。東京のリサイクルゴミが集まる工場がここだ。周囲はグリーン化されていて、いかにもエコ。見学コースまで整備されている。

　ふーむ、このあたり、都心からすぐなのにもかかわらず、第二次産業の匂いがぷんぷんなのだ。で、右手を見ると、そこを第三次産業に転換させようとした（？）天王洲アイルだ。

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